つぶやき一行/2023-06-01
Tag: 今日の「へーっ」
うつ病も治りにくいと死亡リスクが2割増し?
治療抵抗性うつの患者は、治りやすかった患者と比べて死亡するリスクが23%も高いことが分かったという報告があったので記事にしました。では、その理由は?私の考えを最後の「独白」で!
スウェーデンの研究です。
結果
2012年からの6年間で約15.8万件中1.3万件ほどの治療抵抗性うつが発生しました。これらを調査したところ、全死亡率は「治療抵抗性うつ病vs治りやすかったうつ病」の比較では、1年に1000人あたり
- 10.7 vs 8.7
であり、全死亡率は、治りやすかった患者に対し全死亡リスクが23%高かった。
その他の結果
治療抵抗性うつ病で多く見られた障害
「治療抵抗性うつ病vs治りやすかったうつ病」の比較では、
- 不安:44.4% vs 59.8%
- ストレス:28.0% vs 35.8%
- 睡眠障害:19.4% vs 27.5%
- 物質使用障害10.6% vs 15.3%
- 人格障害3.3% vs. 5.6%
- 意図的な自傷行為1.8% vs. 4.9%
治療抵抗性うつ病では、上記の障害が多かったとのことでした。
治療抵抗性うつ病の予測因子
治療抵抗性うつ病のリスク要因となるものは、
- うつ病診断時の自己申告によるうつ病評価尺度Montgomery Åsberg Depression Rating Scale(MADRS-S)の重症度
- うつ病発症時の精神科受診の有無
- うつ病発症前1年間の外来受診回数
- 過去3年間の睡眠障害の診断または鎮痛薬の処方
- 過去3年間の不安の診断または抗不安薬の処方
- 性別
などであったという。
その他の結果
- 外来受診が2倍
- 入院期間が3倍
- 労働損失日数が2倍
- 2回の抗うつ治療に平均1年半かかっていた
などが分かったようです。
独白
うつ状態が長引くと、抵抗力(免疫力)が低下して病気になりやすくなったり治りにくくなったり、また、体調不良になっても億劫で病院に行かなかったりして病気が悪化してしまうリスクが高くなることが、死亡率が高くなる要因かも知れませんね。
情報源
Association of Treatment-Resistant Depression With Patient Outcomes and Health Care Resource Utilization in a Population-Wide Study
Johan Lundberg et al. JAMA Psychiatry. 2023.