言たか放題/2015-05-18
Tag: ふと思い出したこと
ケナコルトの思い出
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、副腎皮質ステロイド商品名ケナコルトAに、重大な副作用として腱断裂を追記する改訂情報を公表しましたが、
久しぶりにケナコルトという言葉に触れてふと思い出したことがあります。
ケナコルトといえば、研修医時代の研修病院で難治性の喘息患者さんに、長期間作用型のステロイド剤として筋注していたのを思い出します。
その時代は、先輩医師から「ケナコルトは突然死がよくある」と聞かされていたので、私は使いませんでしが…
でも、ケナコルトを筋肉注射すると、1ヶ月くらいは本当に喘息発作が起こらなくなって、心理的ケナコルト依存のように筋注を希望される患者さんが少数ですがいらっしゃいました。
患者さんとの夜間救急でのやり取りで、ケナコルトを打つ打たないで問答したこともありました。
その是非はともかく、ケナコルトという言葉が研修医時代の思い出のアンカーになっているのでしょう。
この言葉を目にしたとき、研修医時代の当直の一場面がありありと浮かんできました。
トラウマのある患者さんには、同様に苦悩な記憶のアンカーが形成されてしまっているはずです。
懐かしい思い出もアンカーで鮮明に蘇るのですから、トラウマを抱える患者さんはどんなに辛い目をなさるのでしょうか…