FrontPage/2024-01-17
Tag: 医学情報
うつ病で脳の生体防御能力が低下!
国立精神・神経医療研究センターの研究(2022年06月23日プレスリリース)によれば、慢性的なストレスが血液脳関門の機能低下を引き起こし、これによって脳内炎症が誘発される可能性が示唆されました。
うつ病患者では、
- 血液脳関門の機能が低下し
- 脳内炎症が生じている
ことが報告されています。研究では、VEGF(vascular endothelial growth factor)がこのメカニズムに関与している可能性が探究され、VEGFが血液脳関門の機能低下に寄与している可能性が浮かび上がったそうです。
一部のうつ病患者で、
- 過剰なVEGFシグナルが血液脳関門の機能低下を引き起こす可能性が示唆
- VEGF濃度の増加が脳脊髄液中の炎症を誘発する
ことが明らかになりました。さらに、持続的なストレスがうつ病モデルマウスで、
- 血液脳関門の透過性とバリア構造を変化させる
- VEGFR2(VEGFの受容体の1つ)を阻害するとこれを抑制できる
注)受容体とは、ある物質がくっついて何らかの作用を開始するスイッチのような部位のこと。
この研究から言えること
VEGFが慢性的なストレスによる
- 血液脳関門の機能低下
- 脳内炎症の誘発
に関与している可能性があり、VEGFR2 (VEGFの受容体の1つ)の阻害が抗うつ効果を示すことから、将来的にはうつ病を含むストレス性精神疾患の治療薬の開発に繋がる期待があるということですね。