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dokusyo/2015-10-09

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Tag: 読書 書評

「二十歳の原点」

高野悦子著。

彼女に死を選択させたものは何であったのだろうか?

中学生の頃から内省的となり、

その頃から日記をつけ始めたのだと父が記している。

著者の課題は…

孤独とアイデンティティの確立の闘いであったのであろうか?

ボーダーラインパーソナリティーと類似の心性が見てとれる?

アイデンティティの模索、あるいは生きる意味の不確定性の前で、

闘いの仕方を、玉砕としてしまったのでしょうか?

恋愛に不確定性からの救いを求め、

恋愛の葛藤、さらに失恋へと向かう過程で空想された、

恋愛対象とのsexの表現が、悍ましいほどに生々しい。

その生々しさが著者の苦悩の大きさを感じさせる。

彼女の苦悩の拡散手段は、

伊達眼鏡、煙草、アルコール、音楽、詩、太宰、学生運動、パチンコ、恋愛、セックス、リストカット、眠剤そして大量服薬へと螺旋階段のように上り詰めていく。

最後は、螺旋階段を登りきって、

葛藤の克服というステージではなく、

自死に至りつく。

学生運動のイデオロギーに同一化できずに、

それを自己の劣性と認識してしまう純粋さがある。

過激な学生運動に傾倒しながら、

体制側にへつらう人生を何食わぬ顔で送っている人たちのような狡猾さに欠けている。

純粋で不器用な人であったのだろう…

なお、本書には、

自死に至る心的過程の一部が生々しく表現されている。

ある意味、

精神科医必読の書かも知れない。

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