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つぶやき一行/2021-03-21

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Tag: プチ学び

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今日はミトコンドリアと糖尿病の関係のプチ学び!

ミトコンドリアといえばエネルギーを産み出す細胞内器官というのが一般的イメージです。しかし、実は糖尿病の腎機能障害(糖尿病性腎臓病)にも関連していることが分かってきているようなのです。

今回はミトコンドリアと糖尿病性腎臓病の関係について調べてみました。

ミトコンドリア機能の低下は糖尿病性腎臓病を引き起こす!

難しい化学反応は私には分かりませんがザックリというなら、ミトコンドリアはATPというエネルギー物質(「生体のエネルギー通貨」と呼ばれている)を産み出し、ヒトの生命活動エネルギーを供給する役割を持っています。

しかし、このATPというエネルギー物質を産み出す時に、同時に活性酸素類(ROS)という細胞を障害する物質も産生されるのです。活性酸素はミトコンドリア自体も傷害します。

この活性酸素類は酸化還元酵素というものによって無害化されるのですけれど、ミトコンドリアが傷害されると酸化還元酵素の働きが低下して活性酸素類を無害化することができなくなり、無害化されない活性酸素類がさらにミトコンドリを傷つけて、活性酸素類が減らないという悪循環を形成されることになります。

ミトコンドリアがどんどん傷害されていくと、生体の細胞や組織に必要なエネルギーを産み出すことができなくなるだけではなく活性酸素類を無害化することができなくなって、細胞ひいては臓器の機能低下が生じてくることになるのです。

糖尿病のある人の腎臓ではマイルドな炎症が持続的に続いています。ミトコンドリアは炎症を適切に改善させることに重要な役割もになっています。腎臓の細胞にはミトコンドリアが多く存在していますが、糖尿病による慢性炎症が持続することで、腎臓のミトコンドリアが疲弊(ひへい:疲れ切ってしまうこと)してくる可能性があるでしょう。

ミトコンドリアの疲弊(ひへい)はミトコンドリアの機能低下を引き起こし、エネルギーを作り出す機能も、活性酸素類を無害化する機能も低下して、腎機能が低下して腎臓病が引き起こされることになります。

余談1:『パラサイト・イヴ』って小説もあったなぁ

ミトコンドリアは、独自のDNA(ミトコンドリアDNA)を持ち好気性細菌のαプロテオバクテリアが真核細胞に共生して現在に至ると考えられています。もともとは寄生虫みたいなものでしょうか?

寄生虫といえば、映画やゲームにもなった『パラサイト・イヴ』という小説がありました。パラサイト=寄生虫ですね。日本ホラー小説大賞を平成7年に受賞した瀬名秀明氏の小説ですが、ミトコンドリアの共生起源説や人類進化におけるミトコンドリア・イブ説からヒントを得た小説で、ヒトの細胞の器官として機能しているミトコンドリアが、本来の個別性を取り戻して反乱を起こすという内容でした。

『パラサイト・イヴ』あらすじ

ミトコンドリアの研究者の妻が不可解な交通事故で脳死状態となり、ある少女に移植のために腎臓を提供することとなります。研究者は妻の死を受け入れられず、妻から腎臓を取り出す際に肝臓の細胞を手に入れ培養しました。

しかし、「Eve 1」と名づけた細胞が以上増殖して培養器から外部に出て動き出してしまうのでした。さらに「Eve 1」は偶然出会した女性に乗り移って、腎臓を移植した少女を探し出し子供を産ませようとします。

主人公の研究者はその目論見を阻止しようと「Eve 1」と融合し、「Eve 1」の行動を止めるというストーリーでした。

余談2:「ミトコンドリア・イブ」とは

先にも書いたようにミトコンドリアは細菌由来というのが定説です。ミトコンドリアのDNAはそれを持っているヒトのDNAとは異なる独自のDNAを持っており、そのDNAは卵子に入った精子のミトコンドリアが排除されるため、母親のミトコンドリアDNAを受け継がれていくらしいです。

これに基づき、全てのヒトのミトコンドリアの起源が太古のアフリカの女性であるとの仮説が発表され、アダムとイブというキリスト教の説話にちなんで「ミトコンドリア・イブ」と呼ばれるようになりました。

「ミトコンドリア・イブ」は「全人類の起源が一人の女性にある」というような誤った解釈をする人も結構たくさんいるようです。また、異種交配させると精子由来のミトコンドリアが排除されないケースはあるとのこと。ミトコンドリアって面白いですね^ - ^

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