つぶやき一行/2021-06-15
Tag: 今日の「へーっ」
新型コロナ、子供が危ない!
新型コロナウイルス感染症の発症後に小児に川崎病に似た症状の出る小児多系統炎症性症候群(MIS-C)という病態が見られることが、2020年5月頃より報告されています。小児多系統炎症性症候群(MIS-C)とはどのようなものなのでしょうか?
小児多系統炎症性症候群(MIS-C)とは?
MIS-CはMultisystem Inflammatory Syndrome in Childrenの略で日本では小児多系統炎症性症候群と呼ばれています。最悪の場合、全身の血管内に小さな血の塊ができてしまい、下肢にできた血栓が肺の血管を詰まらせて死んでしまったり、心筋梗塞とか心筋炎とかによって病状が急速に悪化することもある注意すべき病態です。川崎病と似ていることが指摘されています。
川崎病とMIS-Cの類似点と相違点
川崎病との類似点
- 長引く発熱
- 皮膚の発疹
- リンパ節腫脹
- 下痢
- 炎症性バイオマーカーの上昇
川崎病との相違点
- 10代と発症年齢が高い(平均年齢8.3歳:米国の疾病対策予防センター[CDC]による)
- 腹部症状が多い
- 左室収縮機能障害を示すきとが多い
- 急性心不全を伴っていることが多い
MIS-Cの症状(CDCによる)
- 4日以上の発熱(90%)
- 5日以上の発熱(78%)
- 少なくとも4つの臓器障害(71%)
- 消化器系92%
- 心血管系80%
- 血液系76%
- 粘膜・皮膚系74%
- 呼吸器系70%
ある報告では患者(子供)の80%がICUに入院し、70%の子供は退院できたものの、2%の子供は死亡するという経過を辿りました。
人種で違う発生率
黒人は白人に比べ約6倍、同様にラテン系やヒスパニック系は約4倍、アジアと太平洋諸島系は約3倍、MISになるリスクが高いという結果が得られています。
参考文献
Original Investigation Public Health
June 10, 2021,Incidence of Multisystem Inflammatory Syndrome in Children Among US Persons Infected With SARS-CoV-2, Amanda B. Payne et al, DO1; et al, JAMA Netw Open. 2021;4(6):e2116420. doi:10.1001/jamanetworkopen.2021.16420