最新医学の情報乱れ読み/2012-02-06
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Tag: 抗うつ薬
抗うつ薬治療とプラセボ治療の経過は異なるか?
- 抗うつ薬の臨床試験で得られた大うつ病患者の縦断データを経過パターンに基づく解析法(trajectory-based medhods;軌道解析)を用いて抗うつ薬とプラセボの治療反応性の軌道を調べた研究(Arch Gen Psychiatry 2011; 68: 1227-1237)。
- セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)デュロキセチンと選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)およびプラセボとを比較した7つの二重盲検ランダム化比較試験(RCT)から、2,515人の大うつ病患者のデータを分析。
- 治療開始からのハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)の得点から、軌道解析を用いて各治療に対する反応性の軌道を導出。
- 抗うつ薬に対する反応性について、治療反応者(全体の76.3%)と治療非反応者(23.7%)であった。
- デュロキセンとSSRIとの効果に差は認めなかった。
- プラセボで治療された患者の軌道は単一で、全体としては経過とともに徐々にHAM-D得点は低下した。
- プラセボで治療された患者はデュロキセチンと比較した場合、軌道解析で治療反応者と判定されるオッズ比は0.56、SSRIと比較した場合のオッズ比は0.69で、抗うつ薬での治療はプラセボよりも治療反応者が有意に多い。
- 軌道解析で治療反応者と判定された2,034人中、臨床的な治療反応者(ベースラインからの改善が50%以上かつHAM-D得点10点未満)は64.8%。
- 抗うつ薬反応者は8週時にプラセボよりもHAM-D得点が低いが、一方で抗うつ薬非反応者はプラセボよりもHAM-D得点が高い。
- つまり,大うつ病患者の中には、抗うつ薬よりもプラセボで治療した方が有効な者も一部は含まれていることを示す。
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