最新医学の情報乱れ読み/2012-08-01
抗うつ薬SSRIは脳を若返らせる?
不安障害への行動療法の効果を高めるメカニズム
動物実験で、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は脳細胞を未熟な状態にして、行動療法の効果を高める可能性が示唆。
Karpovaらは不安(恐怖条件付け[FC]に対する反応)のマウスモデルを用い、FC前後のマウスにフルオキセチンを投与した場合と投与しない場合において、恐怖記憶の消去訓練(ET)に対する反応を比較。
ET単独は恐怖反応を改善するが、この効果は持続せず、FCおよびET実施前にフルオキセチンが投与された場合、恐怖記憶がより早期に消去され、恐怖反応の再出現率が低いことが判明。
また、FC後にフルオキセチンを投与されたマウスは、非投与群のマウスに比べ、消去が早く、恐怖反応の再出現徴候が認められなかった。
フルオキセチンによって、扁桃体基底外側部における特定の神経細胞が未熟な状態に変化したことから、FCネットワークには幼若期様の可塑性が存在する可能性が示唆。
これらの変化としては、シナプス可塑性の増大(興奮性シナプス後電位[EPSP]上昇を指標に評価)および脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現亢進などが認められた。
Karpova NN et al. Fear erasure in mice requires synergy between antidepressant drugs and extinction training.Science 2011 Dec 23; 334:1731.