言たか放題/2015-08-13
Tag: 映画
パシフィックリムとマインドフルネス
SF映画パシフィックリムをご存知でしょうか?
日本の怪獣映画を愛する外人が作成し、世界的にヒットしたSF映画なのですが、
その中で、ヒロイン(菊地 凛子)がトラウマ思考に飲み込まれてしまった時、
ヒーローが彼女に言った言葉が、
Don't chase the rabbit(rabbitとは記憶のこと).
This is just a memory.
None of this is real.
です。
ウサギを追ってはいけない!
これは記憶に過ぎないんだ!
現実じゃないんだ!
というところでしょうか。
ストーリー的なことを説明しないと何のことやら状態ですね。
内容は単純というか稚拙ですが、
①異次元の侵略者が人類の次元を侵略するため怪獣をこの地上に送り込む。
②究極の対策として人間が乗り込む型の巨大ロボット*1を作って怪獣退治をする(イェーガープログラムと言うのだとか…イェーガーとはドイツ語で狩人の意味)。
③巨大ロボットは人間の脳とロボットの制御システムを同期して操縦する。
④同期は1人の人間の脳への負担が大きく2人の脳をシステムに同期させないといけない。
⑤2人の脳を同期(handshake*2)させる時、2人の記憶が相手にも伝わる(よってヒロインの頭の中で生じている思考体験がヒーローにも分かる!のがミソ)。
- *1:マジンガーZのモロぱくり?ライオンキングほどではありませんが、日本のアニメ作家は本当に鷹揚です!
- *2:handshakeとは、ここでは握手ではなく、異質なシステムの間の通信を自動的に行うことで、情報技術や電気通信の分野での用語。
本筋に戻るとしましょう。
ヒーローとヒロインがロボット操縦のためhandshakeしたとき、
ヒロインが怪獣に両親を殺されたトラウマを思い出して、
そのトラウマ的思考に圧倒され飲み込まれてそうになったときに、
ヒーローがヒロインに語りかけた言葉が、Don't chase the …でした。
これは当にマインドフルネスの心得そのものではないですか!
記憶や思考、情動に圧倒され飲み込まれてしまうと、
今は考えているだけで、現実には生じていない嫌なことが、
今当に生じているのと同様のストレス反応が脳に生じてしまいます。
そこで、マインドフルネスでは、
今生じているのは、
自分が考えているだけであり、
現実には生じていないことに気づく!
そして、生じている考えを対策しようとも考えないようにしようともせず、
そのままにして、
ただ過ぎ去るのを観察する、
という構えでいるという思考の運用を行うのです。
すると、不思議なことに、ストレス反応が自然治癒していくのです。
映画で表現された部分は、
正確にはマインドフルネスの全過程ではありませんが、
メタ認知療法で言うところのデタッチト部分に相当するのではないでしょうか?
デタッチトとは、思考や情動に巻き込まれていることに気づき、その状態から離れるというくらいの意味でしょうか。
この巻き込まれていることに気づくだけでも、ストレス反応が生じることが軽減されるのは確かなようです!
どなたでも、これを意識するだけで効果を体感できると思いますが、
この映画のシナリオライターも経験的にマインドフルネスの効用を感じていたのかもしれません…