自戒せよ!プロクルーステース?
自戒せよ!プロクルーステース?
プロクルーステースのお話をご存知でしょうか?
プロクルーステースはギリシャ神話に出てくる盗賊です。
獲物を遠くから目測して、
おおよその身長を頭に描き、
長さを調整できる鉄のベッドを目測した身長の長さに合わせて調整し、
休ませてやろうと言って招き入れた旅人の身長が、ベッドの長さに合わないと、
旅人の脚を切断したり、
拷問機械で身長を引き伸ばしたりしたというのです。
このプロクルーステースと同じようなことを、
私たち医療関係者がしていないか?
と自戒する必要があるのではないでしょうか。
ある治療流派の研修会で、
その流派の疾病発症理論にピッタリ沿うような、
意図的誘導面接であると取られかねないような面接記録の報告を経験することが、多々ありました。
個々の患者さんを、ある治療理論に当てはまるような情報だけを引き出そうとすることは、
プロクルーステースと同じことをしているということになるのではないでしょうか。
それは、
患者さんのための治療ではなく、
治療する側の人(治療者)のアイデンティティを満足させるための治療になっているのではないでしょうか。
もはや治療とは呼べない、治療者の趣味の手段として患者さんを使用していると言えるのではないでしょうか。
決めつけや誘導といった要素に満ちた治療面接で、
患者さんが癒されることはないはずです。
そこで生じるのは、
治療者の自己愛の満足だけでしょう。
確かに、
明かに物事の受け止め方が、
極端化していたり、
恐れすぎていたり、
警戒しすぎていたりする
患者さんがいらっしゃるのは事実です。
しかし、
その認識の形成過程を、
自分の信奉する流派の理論にピッタリ当てはめようと、面接を誘導することは、
ある意味で洗脳であったり、
やり方によっては、
虐待であったり、人権侵害であると言われても仕方がない行為であるとさえ言えるのではないでしょうか?
治療者は、
決してプロクルーステースであってはならないと自戒して診療に臨みたいと思っています。
ですけれど、
ついつい自分が信じる疾病理論に、
意図的であると自覚することなく、
無意識的に疾病理論を確証するような情報のみを収集してしまってしまいます。
プロクルーステースたるな!
と日々、さらに自戒せねば…
死ぬまで修行中!
と、いうことでしょうか^ - ^
【追伸】
死ぬまで修行中ということに関連して、「赤の女王仮説」についていつか言及したいと思っています。