ストレスで遺伝子まで変化?
ストレスで遺伝子まで変化?
Tag: ストレス 遺伝子 脳科学
ストレスにさらされると、遺伝子まで変化するという報告です。
情報源:sp.m3.com
理化学研究所の研究グループが、米科学論文誌「セル」に発表しました。
DNAは、ヒストンというタンパク質塊に巻き付いているのですが、DNAにおける遺伝子情報を規定する塩基の並びに変化がなくても、ヒストンへの巻き付き方の違いで、遺伝子がその情報を発現ししたりしなかったりするというメカニズムがあることが分かっています。
これに着眼して、白い目のショウジョウバエの卵をお湯につけるというストレス状況下においたところ、ATF2というタンパク質が活性化して、DNAの巻き付き方が緩み、その結果、赤い色素を作る遺伝子が働くようになって、ストレスにさらされた卵から生まれるハエは、目が赤くなるという実験結果をえたというのです。
この巻き付き方の緩さは、目が赤くなったショウジョウバエ(ストレスを与えられた親)の子も目が少し赤くなりましたが、孫の世代では白い目に戻ったということです。
さらに、子に続けてストレスを与えると、目の赤さは、孫・ひ孫・やしゃごまで残ったると報告しています。
ハエと人間を同列に論じることはできませんが、ヒトでもストレスが何らかの遺伝子変化を引き起こす可能性はないとは言えません。
もしストレスが遺伝子の変化を引き起こすなら、その変化の程度や変化の解除のされ方が、精神疾患の回復の「しにくさし・やすさ」に影響を与える可能性が想定されます。
日常診療においても、ストレス状況下から離れることができたとき、症状が速やかに改善していく患者さんと、なかなか症状が回復しないで長期化する患者さんがいます。
これらの違いは、ひょっとして遺伝子変化の有無や程度によるものなのかもしれません。
これらの変化が病状の回復に影響しているのなら、検査でそれを測定できたり有効な治療薬が近い将来、利用できるようになるかもしれません。
期待したいものです。