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はたしてBCGは新型コロナウイルスに効果があるのか?

はたしてBCGは新型コロナウイルスに効果があるのか?

予防接種

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米国の研究報告

米国のBaylor College of Medicineの研究者がResearch Gateに投稿した予備的研究論文によれば、「The European Centre for Disease Prevention and Control for the number of cases and deaths attributed to Covid-19」と「The World Atlas of BCG for list of countries describing programs of BCG vaccination」および「Worldometer.info for the population of all countries」という3つのデーターベースから得られたデータを分析しました。

その結果、BCGを全国民に接種することを義務づけている国が131国、義務づけていない国が21国でした。

義務づけている国を義務国、義務づけていない国を非義務国とすると、義務国の新型コロナウイルス感染の発生率が人口100万人あたり15日間で38.4人であったのに対して、非義務国のそれは358.4人と10倍近くも多かったというのです。

さらに、15日間の人口100万人あたりの死亡率もBCG義務国では4.28人であり、非義務国の40人に比べて10分の1ほどになっていたことがわかりました。

著者らは、BCGに新型コロナウイルスの発生率と死亡率を低くする可能性があることが判明したことより、新型コロナウイルスに対する直接的なワクチンが開発されていない現在、全国民的な規模でのBCGの接種は新型コロナウイルスの脅威度を低める役割を演じるかもしれないと考察しています。

ただし、この研究は他の人に検閲してもらっていない研究報告であり、今後さらなる研究検証が必要です。

日本の研究報告

また、これも予備的研究ではあるのですが、我が国の藤田医科大学の研究者がmedRxivに2020年4月投稿した報告では、

199カ国について調べた結果、BCG接種は人口100万人あたりの新型コロナウイルス感染症患者数とその死亡者数を少なくすることに関連しており、

BCG接種は患者数や死亡者数が少なくなることの影響の12.5%(患者数が少ないこと) および38%(死亡者の少ないこと)を説明するとしています。

米国の研究報告をもう1つ

New York Institute of Technologyの研究者の予備的研究でも、子供の頃にBCGを義務的に接種していない国(イタリア、オランダ、米国)では、義務づけられている国に比べて随分と感染率が高かったとしています。

さらに1984年以降にBCG接種が義務づけられたイランで死亡率が高いことは、(子供の頃に接種した)BCG接種が老人を新型コロナウイルスから守る働きがあるからではないかとしています。

そして、BCGの接種が罹患率(新型コロナウイルスに感染する割合)と死亡率を低くするということは、BCGの接種が新型コロナウイルス対策への新たな手段となるかもしれないとしています。

日本小児科学会からのお願い

日本小児科学会は2020年4月3日に、引用のような要旨の「乳児へのBCGワクチンの優先接種のお願い」を学会ホームページに掲載しました。

要約すると、BCG摂取の新型コロナウイルスに対する使用や効果について次のような注意を促しています。

  • 科学的に実証されたものではない
  • 成人や高齢者に接種してどうなるかは十分な検証がなされていない
  • 接種の優先対象は0歳児である
  • BCGワクチンの供給量には限りがある
  • 0歳児のBCGワクチン接種において供給問題が生じてはいけない

結局どうなの?BCG_効果ありやなしや

予備的な調査報告から、どうやらBCGは新型コロナウイルスの感染者を少なくすることや、新型コロナウイルス感染者の死亡率を低下させる効果を期待できそうです。

しかし、この効果は次のような制約のあることを知っておかなければなりません。

  • 乳幼児期に接種した場合の効果である可能性がある
  • 接種してすぐに効果が得られるかは不明である
  • 全国民的に接種していた場合には国全体として予防効果はあるが個々の人に効果があるかどうかはその人による
  • 中高年などの成人に接種させた場合の効果も安全性も分かっていない

これらのまだ未解明の問題があることを頭に入れておく必要がありそうですね。

日本小児科学会からのお願い:以下は引用

2020年4月3日 会員 各位 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会 最近の BCG ワクチンと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する報道に関連して~乳児への BCG ワクチンの優先接種のお願い~ 昨今、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が国内外で大きな問題となり、BCGワクチンによる予防効果を期待する声がありますが、日本ワクチン学会が示す見解1)のように、いまだ科学的に実証されたものではありません。 BCG ワクチンは、結核に対する予防ワクチンであり、日本では小児に対して予防接種法に基づく定期接種が実施されています。定期接種の対象者は 0 歳児であり、結核性髄膜炎や粟粒結核など低年齢小児で頻度の高い重症の結核を予防する有用性が最も高い2-5)という理由に基づいています。 したがって、世界各国でも新生児や乳児を対象に接種が行われており、成人や高齢者を対象とした知見は十分ではありません。また、結核菌の既罹患者や BCG 菌に対する免疫を有する者に接種した場合、強い接種局所反応などの副反応が出現する可能性があります6)。 以上のことより、BCG ワクチンを接種する優先対象は、定期接種の対象者である0歳児であると日本小児科学会は考えます。また、BCG ワクチンの供給量には限りがあります。 これまでのエビデンスに基づいて最も接種が優先される0歳児にBCGワクチンの供給問題が生じないよう、ご賢察をよろしくお願い申し上げます。

1)日本ワクチン学会ウェブサイト.http://www.jsvac.jp/pdfs/kenkai.pdf(2020年4月3日アクセス.)
2)Hart PD, et al: Br Med J. 1977; 2: 293-5
3)Colditz GA, et al: JAMA. 1994; 271: 698-702
4)Colditz GA, et al: Pediatrics. 1995; 96: 29-35
5)WHO: BCG vaccines: WHO position paper – February 2018. Weekly Epidemiological Reord. 2018; 93: 73–9
6)公益財団法人予防接種リサーチセンター:予防接種ガイドライン 2019 年度版

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