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強迫性障害の人が持っている自分では気づいていない考えのクセ

強迫性障害の人が持っている自分では気づいていない考えのクセ

手洗い

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強迫性障害の人は、「自分が意識しない特別な考えのクセ(無意識の信念)」を持っています。この「自分が意識しない特別な考えのクセ」によって、自分の頭に浮かぶ「自分で意識できる考え(自動思考)」が形作られるのです。

そして、無意識の信念や自動思考に影響されて気分や感情が刺激されます。ここでは強迫性障害の人が持っている「自分が意識しない特別な考えのクセ」の1つを取り上げ、その特徴や対処法について解説します。

自動思考の発生に関係する要素

自動思考は次のような要素が絡んで作られると考えています。

  1. ポジティブなことに注目しやすいかネガティブなことに注目しやすかの脳の体質
  2. 記憶に残っていない子宮内での環境(母の妊娠中の体調や精神状態を含む)や乳児期の体験
  3. 記憶に残っている幼児期以降の体験(状況や対人関係)
  4. 運動能力and/or知的能力and/or容姿and/or技巧能力and/orコミュニケーション特性etcが関係する体験.
  5. 成長したのちの経済的状況や経済的能力からの体験
  6. 考えが生じる状況がどのようなものであるか
    これらの要素が絡み合って、それぞれの状況や場面で自動的に考えが浮かんできます。これらの要素について自己理解することが、治療にも大きな影響を及ぼすことになるのです。

強迫性障害の人の定型的メタ認知:TEFとは?

強迫性障害の方の無意識の信念には共通する特徴があります。最もよく目られるのがTEFでしょう。ここではこの特徴的な信念について見てみたいと思います。

「考えが浮んだ、だから、それは事実だ」信念:TEF

TEFはThought-Event-Fusionの略で、思考と出来事を混同してしまう信念のことす。“「こういう考えが浮んだ」だから「そういうことが生じている」のは事実だ!”というものですね。言い換えれば、自分の考えを根拠に心配になった事実が生じていると思って心配になるということでしょう。このような信念を「混同信念」と呼びます。

例えば、鍵を閉め忘れたのではないか?という考えが浮かんだのは、鍵を閉め忘れたという事実が生じているからだ!とか、帰り道で人を轢いたのではないか?という考えが浮かんだのは、帰り道で人を轢いたという事実が生じているに違いない!とかいうものです。

不潔恐怖の場合は、汚染されたという考えが浮かんだのは、汚染されたという事実が生じたからだ!ということになりますね。汚い!という考えが生じたのは汚い状態が生じているからだ!という信念です。これによって、不潔恐怖の人は手洗いなどを始めます。そして、洗えば洗うほどもっと洗いたくなるという悪循環に陥るのです。

思考の増悪的発展:不潔恐怖の場合

「疑念→混同信念→確信→役に立たない安全行動→増悪」という流れが症状を治らなくしたり悪化させたりします。これらの思考の増悪的発展について述べてみます。

疑念(トリガーとなる自動思考)からの悪循環

不潔恐怖の場合、「汚染されたのではないか!」という自動思考が浮かんで手などを洗いたくなります。一番最初に浮かんでくる「汚染されたのではないか!」という思考が疑念すなわちトリガーとなる自動思考です。

「汚染されたのではないか!」という自動思考が浮かんだ背景にあるTEFが作用して、「汚染されたのではないか!」→「汚染されたに違いない!」→「汚染されたという事実が生じているのだ!」というような、意識されない思考の流れができてしまいます。「私が汚染されたと思うのだから汚染されているのだ!」となるのですね。

役に立たない対処行動による悪循環:安全行動

ここで思考だけでなく対処行動も悪循環を引き起こします。この対処行動は安全行動と呼ばれます。そして、この安全行動は役に立たないものなのです。「汚染されたという不安→手を洗うという安全行動→一時的に不安が軽くなる→完全には汚染されたという不安は消えない→すぐにまた汚染されたと不安が大きくなってくる→手を洗う」これが繰り返されるようになってしまいます。

安全行動によって不安が軽くなるのは理解できるのですけれど、なぜ直ぐにま汚染されたという不安が振り返してくる理由は分かりません。きっと脳の反応がそうプログラム付けられているのでしょうね。しかし、臨床的な観察から安全行動が手洗いなどへの不安を大きくしたり直さないように働くことが知られているのです。

行動療法が強迫性障害には効果があることが確認されています。方法としては暴露反応妨害法というスキルを使います。これは簡単にいうと不安になる状況を行なって、かつ安全行動を行わないでおくというものです。安全行動、不潔恐怖では手洗いですね。この安全行動である手洗いを不潔だと思うものを触ってもしないようにします。

不安が時間とともに軽くなっていく体験をできれば、手洗いせず耐えることを繰り返していくのです。「汚染された不安→安全行動である手洗いをしない→不安が時間とともに各ルクなっていくことを体験する→繰り返す→手洗いしなくても良くなる」という流れですね。

ただし、この暴露反応妨害法は不安レベルの軽いものから徐々に鳴らしていく必要があります。そして何より行動療法の専門家によるセッションを受けて行うことが必須です。福岡では九州大学病院の精神神経科で行なっているようなので、掛かりつけ医から予約してもらわなければ受診できないので、掛かりつけ医に相談してくださいね。

私は行動療法の専門家ではありませんが、私なりの不潔恐怖への対応法については近いうちに記事をアップしたいと思っています。期待せずにお待ちください^ - ^

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