脳波で手軽に認知症が診断できるって本当?
脳波で手軽に認知症が診断できるって本当?
頭に巻くタイプの脳波計で約30秒の脳波計測を、健常者・認知症の前段階(MCIという)の人・認知症の人という3グループに行った結果、これらの3グループを鑑別できる可能性が得られたという報告があったので紹介します。慶應義塾大学の研究です。
結果は次のごとくでした。
- 健常者グループでは、認知症やMCIのグループに比べてデルタ(1–4Hz)という脳波帯域が有意に増加していた
- 認知症グループでは、健常者やMCIのグループに比べてアルファ1バンド(8–9Hz)という脳波帯域が有意に増加していた
なお、測定結果は直ぐにスマホなどのスマートデバイスに送信されてくる仕組みだそうです。
私見
以上から、デルタバンドとアルファ1バンドとが共に有意に増加していない人はMCIであり、将来の認知症リスクが大きいということが導き出せるというのです。MCIであるとされてから3年以内にアルツハイマー病に進行する割合は約40%とも言われているので、このMCIを早期に発見して認知症のお薬を投与すれば、認知症への進行を阻止することができる可能性があります。30秒で判定できるウエアラブルな脳波計での早期発見という手法が早く実用化されるといいですね。
情報源
Mitsukura et al, Frontotemporal EEG as potential biomarker for early MCI: a case–control study. BMC Psychiatry volume 22, Article number: 289 (2022), Published: 22 April 2022
https://bmcpsychiatry.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12888-022-03932-0