睡眠を改善する運動のやり方とは?
2022.08.06
カテゴリ:睡眠と運動
睡眠を改善する運動のやり方とは?
一般的に睡眠に運動がよい影響を与えることは知られています。ですけれど、どんな運動でも睡眠に良い影響を与えるのかは明確ではありません。それに答えをくれるような高負荷の運動についての研究があったので紹介します。運動と睡眠の関係をメタ分析という信頼性の高い分析手法で考察したコンコルディア大学(カナダ)の報告です。
論文の要旨
一般的に言われていることは、
- 中等度の負荷となる運動が睡眠を改善する
- 高強度の運動を睡眠直前にすることは推奨されない
「高強度の運動(筋トレなど)」に関する信頼性の高い分析の結果は、運動をしていない対照と比較して
- 就寝時刻の30分~4時間前に終了するとREM睡眠(夢の睡眠)を-2.34%減少させる
- 就寝時刻の2~4時間前に終了していると夜間の睡眠を妨げない
- 就寝の2時間前までに高負荷の運動を終えると
- 入眠が促進される
- 睡眠時間も延長する
- 就寝の2時間前までに高強度の運動を終えていないと
- 入眠に時間がかかる
- 睡眠時間も短くなる
- 夕方の高強度の運動は座りがちな生活をする人の
- 入眠を促進する
- 睡眠時間を長くする
- 30~60分間の高強度の運動で
- 入眠を促進する
- 睡眠時間を長くする
等ということが分かったとのことです。
私見
高強度の運動(筋トレなど)にしろ軽い運動にしろ、寝る前の運動は睡眠にはかえって悪い影響を与えると思います。特に高強度の運動は、身体神経精神系を「戦闘モード(戦うか逃げるか反応)」に切り替えるため眠気がなくなってしまうのです。また、睡眠は深部体温が低下することで生じるので、高強度の運動により深部体温が上がってしまうと眠りにくくなります。寝る前の運動は運動する時間(時刻)に注意しましょう!
情報源
- The effects of evening high-intensity exercise on sleep in healthy adults: A systematic review and meta-analysis. Emmanuel Frimpong et al., Sleep Med Rev.2021 Dec;60:101535.doi:10.1016/j.smrv.2021.101535.Epub 2021 Aug 3.
- https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34416428/